裂き織とは
「裂き織」の起源は江戸時代中期
寒冷な気候のため綿や織維製品が貴重だった東北地方にあると言われています。当時は日常生活に用いる衣類や布団などの布を、裂いて細く繊維状にし、ねじりながら織り上げていました。
貴重品として「使い切る」文化の中で
17世紀になって、東北地方にも古木木綿(木綿の古布)が入るようになり、その肌触りのよさは多くの人を魅了しました。しかし、古布とはいえ安いものではなかったため、貴重品として「使い切る」文化の中で裂き織技術が発展していきました。
デザイン性の高いエコファブリック
近年は、繊維製品が手に入りやすくなり、裂き織はあまり織られなくなりましたが、一方で、その独特の風合いや芸術性、古布や残反(生地の残り)を利用するという特色が注目され、アパレル・インテリア系のデザイナーからもデザイン性の高いエコファブリックとして見直されてきています。
工程
PROCESS
裂き織は、
その工程のほとんどが人の手で行われます
布を細く裂いてよこ糸をつくり、
経糸を通した織り機で一段一段ていねいに織り込んでいく。
それは単なる作業ではありません。
人の手を通じて、ものを愛おしむ気持ちも一緒に織り込まれています。
だからこそ、
機械では表現できない暖かみのある
独特な風合いを生み出すのです。
- 裂きやすくするために一枚にもどした布にハサミで一定の太さの切り込みをいれます。
- 01
- 切り込みを入れた所から勢い良く左右に引っ張り裂いていきます。
- 02
- 端まで裂いたら切り離さず同じ幅で折り返し、角をハサミで落とし、1本の糸にしていきます。
- 03
- 裂き終わったよこ糸は丸めておきます。これでよこ糸の完成です。
- 04
- 織上がりをイメージしながら経糸(たて糸)の配色を決めます。
- 05
- 経糸(たて糸)を専用の機械で1cmに10本ずつ巻いていきます。
- 06
- 上になる糸(上糸)と下になる糸(下糸)を交互に「綜絖(そうこう)」へ通していきます。
- 07
- 上糸と下糸が1 セットになるように「筬(おさ)」へ通します。全て通し終わったら均一な力で結びつけ、織の準備は終了です。
- 08
- 裂いたよこ糸を「杼(ひ)」という板に巻きつけ、織りの準備をします。
- 09
- 糸を1回通すごとに足を交互に踏み上下の糸を交差させ、折り返しの耳を揃えリズム良く打ち込んでいきます。
- 10
- 細い糸をキツく打ち込みほつれないように織止めをします。
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- ほつれ止めを行ない、余った糸を切ったら、世界で1枚しかない裂き織の完成です。
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